日本人の親切 今・昔
「小さな親切」実行章は、運動のスタートと同じ、昭和38(1963)年に始まりました。
それから現在まで、600万人を超える方が受章していらっしゃいますが、親切の内容は時代とともに、少しずつ変わってきています。昔と今の実行章受章内容をくらべてみると、その変化がわかります。
昭和38年の親切の例
小学5年生の女子
とても混み合った銭湯で座れずに困っているおばあさんのために、空いた場所を見つけ、背中を流してあげた
高校2年生の男子
重いリヤカーを引いて坂道で困っている人を見つけ、後ろから押してあげた
中学2年生の男子
お両手に大きい風呂敷を持って歩いているばあさんに、「荷物を持ってあげましょう」と声をかけ、たずねる家まで送っていった
50代の男性
郵便配達中に自転車がパンクして困っていた郵便局職員に自らの自転車を貸し、さらに次の配達の時までにパンクした箇所を修理してくれた
中学3年生の男子3名
コンクリート土管の上で遊んでいた6歳の男の子が転んで怪我をしたのを見かけ、医者に運ぶ一方で、その子の母親にも連絡した
50代の男性
踏切で、耳の聞こえにくいおばあさんが、汽車が来るのに気づかずに歩いていたところを助けた男性。その後、おとしよりの安全のために、夜7時半から10時まで踏切の番をしている
中学1年生の女子
隣家の人が留守の間に、その飼い犬が台所を荒らしていたのを見て、犬小屋に犬をいれ、台所をきれいにした
中学2年生の男子
おばあさんが、下駄の鼻緒が切れて困っていたところ、自分の手ぬぐいを破いて直してあげた
どうでしょう。
アニメ「鉄腕アトム」の放送がスタートし、坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」が流行した年は、こんな親切をした人が実行章を受章されていました。
近年の親切の例
3人の看護師さん
居酒屋で飲食中の50代男性が心肺停止した場面に出会い、心臓マッサージや気道確保、近くのお店から借りたAEDで救命措置を施し蘇生させた。
小学6年生の男子
遊び場になっている地域の神社にゴミが散乱していたので、友人4人が協力してゴミ拾いを行なった
小学5年生のとあるクラス
学習の一環として1年かけて栽培した青菜を漬物にして販売、収益金を盲導犬の育成に寄附した
小学生の兄妹
交通量が多く横断できなかった車椅子のお年寄りの為に、車を止め安全に渡らせてあげた
中学3年生の女子2名
中学の入学式の前日、二人の生徒が一旦下校したあと再度学校に出向き、新入生のために3時間あまりかけて下足棟を清掃した
76歳の男性
一度閉店した飲食店を、東日本大震災の被災地に義援金を送るために復活。売上げの利益分は全額被災地に送っている
78歳の女性
元看護師の資格を生かし、血圧測定や健康相談をボランティアで行っている
26歳の男性
客として訪れた銀行で、車椅子で来店した別のお客さんの補助や手助けなどを行員より先に行った
23歳の女性
犬の散歩中に認知症のおとしよりが歩いているのを見つけて保護。自家用車で交番まで送り届けた
このほかにも近頃は、
- 福祉施設などへの慰問活動
- 観光客に楽しんでもらうためのボランティア活動(清掃やガイドなど)
- 被災地域に対するボランティア活動(東日本大震災以降)
こんな活動をしていらっしゃる方々の推薦がどんどん増えています。広く社会のために活躍されている方が多くなってきているのですね。
とはいえ、「地域の人たちのための自主的な清掃活動」や「道や切符の買い方が分からず困っている人を助けてあげた」など昔と今に共通しているものもたくさんあります。
状況は変わっても、「みんなに気持ちよく暮らしてほしい」「不安な人を助けたい」という優しい心は変わらないのですね。