はがきキャンペーン 応募要項

今年度の受付は終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

応募要項
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“あのときは ありがとう”。心にほんわか灯がともる、そんな瞬間がきっと誰にでもあるはず。改めて思い返せば、その大切さに気づくことでしょう。
身近にある出会いや何げない一言など、胸の奥底にしまったままの思い出をエッセイにしてみませんか。当時の情景とともに伝えたい想いをしたためた体験エピソードを募集します。

応募作品は書籍に収録される場合も。手書きで綴るはがき、書き慣れたメールなど、いずれかを選択しぜひご応募ください!

こころのエッセイコンテスト
第40回「小さな親切」はがきキャンペーン

テーマ

  • あのときはありがとう ~心から伝えたい~

対象

高校生以上(高校生と同じ年齢のものを含む)

応募方法

テーマにそった体験をエッセイにしてご応募ください(複数作品の応募も可)。
なお、応募方法にかかわらず、タイトル・氏名(ふりがな)・年齢・職業または学校名・住所・電話番号を必ず明記ください。

はがきで応募
手書きでなくても結構です。郵送にてご応募ください。
メールで応募
下記の応募専用メールアドレス宛にエッセイをお送りください。
WEBサイトから応募
本ページ内の応募フォームからも直接ご応募いただけます。
→ 現在受付は終了しております

送り先

公益社団法人「小さな親切」運動本部 はがきキャンペーンW係
〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2-20-4
メールアドレス 

応募字数

はがき1枚に収まる程度(600字以内)、タイトルは15字以内
 ※テーマ、氏名等は文字数に含みません

しめきり

令和6年9月4日(水)〈必着〉

入賞発表

令和6年11月上旬(読売新聞紙上、「小さな親切」運動本部Webサイト上)

賞について

  • 大 賞       1名
  • 日本郵便賞     1名
  • 読売新聞社賞    1名
  • 河出書房新社賞   1名
  • 入 選      20名
  • 第40周年記念表彰 1団体

表彰式

令和6年11月29日(金) 全国表彰式席上

※ 応募作品は自作かつ未発表のものに限ります

※ 学校等団体で取り組む場合は、可能な限り取りまとめて一括でご応募ください。難しい場合は、「団体応募」と分かるように所属を必ず明記してください。

※ AI(人工知能)文書自動生成ツールでの作成、創作・盗作があった場合は、審査対象外となります。なお、審査後に上記が発覚、または本人がこれを認めた場合、入賞・入選を取り消します

※ 応募作品の所有権及び著作権は、公益社団法人「小さな親切」運動本部に属し、応募作品は返却いたしません

※ 応募作品は当団体Webサイト等で紹介することがあり、その際作品のタイトル変更及び補作を行うことがあります

※ 入賞・入選全作品は、本部発行の作品集に収録されます

※ 選外作品も書籍発行時に作品収録の可能性があります。

※ 作品応募にあたってご提供いただきました個人情報は、コンテスト運営上必要な利用目的の範囲内において利用いたします

主催 公益社団法人「小さな親切」運動本部
後援 日本郵便株式会社  読売新聞社
協賛 株式会社河出書房新社

入賞作品より~胸がキュンとするいい話

第39回はがきキャンペーン 入選
『瑞々しい心の君たちへ』 鹿児島県 右田文子(76)

今から45年ほど昔のことです。

生後間もない娘を抱いて、家族4人で鹿児島市北部の団地に転居しました。

ある日、街に出かけて帰りにバスに乗りました。途中、下校する小学校低学年のかわいい児童が数人乗車しました。団地に入ると、それぞれが降車の際に、運転手さんに「ありがとうございました」と、元気にお礼を伝えているのです。

私は感動して、清々しい思いで心が満たされました。車の運転ができない私は、日頃路線バスにお世話になっているのに、いつも無言で降車していたのです。

子どもたちの行動に心動かされた私は、彼らをお手本にしようと決めました。

小声で始めた「ありがとうございました」。何時しか自然に伝えられるようになり、時の経過と年齢を重ねながら、言葉に添える思いが折々に変化しました。

70代半ばになった現在、路線バスや運転手さんのありがたさをしみじみ感じて乗車しています。あの時の小学生たちは50代半ばになり、社会で活躍されていることでしょう。

私に小さな勇気を教えてくれた君たちへ、心からありがとう。

第38回はがきキャンペーン 入選
『雪かきはおたがいさま』 東京都 小野 史(42)

新居を構えて半年後、ここ東京でも大雪に見舞われた。辺りに雪かきの音が響き渡る。

「どうしよう。スコップなんて、持ってないじゃない」

「ちょっくら、買ってくるよ」

白一色の銀世界の中、夫がはりきって飛び出していった。

ところが、間もなくホームセンターから帰ってきた夫の手には、何も握られておらず、空っぽ。どうやら、全部売り切れていたらしい。

そこで、娘の砂遊び用のシャベルを持って、外に出た。

すると、隣に住むおじさんが、我が家の駐車場を指さしながら、気さくに声をかけてきた。

「ここも、やっちゃっていいの?」

ちらっと通りを見やれば、すでに雪かきが終わっている。

「すみません。助かります」

「ありがとうございます」

夫とそろって頭を下げれば、さらりと返された。

「いいの、いいの。おたがいさまなんだから」

“おたがいさま”かあ。いい合言葉だな。すてきだな。

心の中でじっくり反芻しながら、思わず顔をほころばせた。色鮮やかなちりとりを飛び入り参加させて、向かいのおばあさんの家も、みんなで雪かきした。

凍えるほど寒い冬空の下、心身ともにぽかぽか温まっていく。

もしまた降り積もるようなことがあれば、“おたがいさま精神”をフルに発揮して、近所の人たちと力を合わせて雪かきを楽しみたいと思う。

第37回はがきキャンペーン 入選
『ジャガイモの花』 徳島県 天竹 勉(65)

父が脳梗塞で長期入院し、母は泊まり込みの看病、私は単身赴任で、妻も共働き。小学3年生の息子はかぎっ子になった。私も土日には帰るが、父の見舞いや仕事の残務に追われ、家事までは手が回らなかった。

そんなある日、家に帰ってみると、玄関の軒下にジャガイモの種芋が届けられていた。父が頼んだものだ。

(そんな時期になったんだ。困った、手に余る……)

それでも何とか裏の畑を耕したが、日が暮れた。

(もう無理、今年のジャガイモは断念だ)

そう決めた。父母は残念がったが、仕方がない。

父の種芋は、軒下でほったらかしになった。

一週間後、帰宅すると息子が、

「ジャガイモを植えたよ」

と言う。裏の畑をのぞくと、こんもりと盛り上がった畝が整然と見える。

「前のおばちゃんと、ぼくとで植えたんだ」

“前のおばちゃん”とは、向かいの家のおばさんのことである。お礼を言いに行くと、

「困ったときはお互いさま。私も、今までいっぱい助けてもろたんよ。お返し」

そう話す笑顔に、感謝した。

そして、父の退院にあわせるように、ジャガイモは花を咲かせた。

第33回はがきキャンペーン 入選
『おじいさんの梅の花』 静岡県 袴田奈月(29)

子どもの頃、近所に「怖いおじいさん」が住んでいた。子ども心に、親たちが食卓で話す「近所のうわさ」を真に受けていたせいかもしれない。

子どもの目には珍しい白髪と、背が高くてしゃんとした背筋、母の「不愛想な人」という言葉が、その瞳を一層鋭く見せる。登下校のたび、柵越しのおじいさんの横を逃げるように走って通る私に、おじいさんはただ黙々と、大きな梅の木の剪定をしていた。

春めいてきたある日の授業中、突然慌ただしい先生の声。

「ママが入院したって。お父さんが迎えにきてくれたから、すぐおうちに帰りなさい」

体の弱い母は、日頃の疲れが出たらしく、仕事先で急に倒れたそうだ。父に手を引かれて病院に向かう道中、私は泣きそうなほど不安で、普段なら避けて通るあの「怖いおじさん」の家の前が、すぐそこであることに気づかなかった。

おじいさんは今日もそこに立っていて、私たち親子の焦った様子に、「どうしたんだね」と言った。驚いた父が、「妻の見舞いに」と言うと、おじいさんは、その大きな手で梅を一枝無造作に手折ると、小さな私に「母ちゃんに持ってってやんな」と渡してくれたのだ。

おじいさんは相変わらずぶすっとした顔をしていたけど、その手はとても温かだった。

母はその後5日間ほど入院したが、優しく香る梅の花に、どんなに心癒されたかしれないという。

後日、元気になった母と父と3人でお礼を言いに、おじいさんを訪ねた。相変わらず不愛想で優しいおじいさんは、「まあ、よかったな」とぼそりと言って、初めて少しはにかんだ。

第30回はがきキャンペーン 入選
『お向かいさんに 守られて』 大阪府 柏原代志子(75)

3人の子どもが家を出てから、主人と2人暮らしになりました。当初は主人も私もまだ60代でしたが、いつ何が起きるかわからない年齢でした。

(そうだ、お向かいさんに子どもたちの連絡先を知らせておこう。何かあったら連絡してもらおう)

と、電話番号を紙に書いて、お向かいさんに渡しました。

お向かいさんはやさしい人、快く受けてくださいました。

同時に、部屋の明かりがついていない、洗濯物が出しっぱなしになっていたら、「声をかけてね」とお願いしました。

先日、台風11号が日本中を襲った日でした。大阪ドームへ阪神・広島戦を観に行きました。私たち2人はタイガースファン。台風もなんのその、スタンドは両方のファンで満員でした。でも、2人の声をからした応援空しく、完敗でした。

翌日、お向かいさんから、

「昨日、あんな台風の日にどこに行ってたん?玄関の電気つかないし、娘さんに電話しよ思ったよ」

と、手におはぎを持って、来てくださいました。

「ごめんねぇ。大阪ドームに、タイガースの応援に行っててん」

2人は後期高齢者です。心配かけてしまいました。お向かいさんの思いがけないやさしい言葉に、うれしくなりました。

このことを娘に話すと、「うれしいなぁ。遅くなる時は連絡しときな!」と喜んでくれました。

心から、ありがとうございました。主人と私は幸せ者です。

これからも見ていてくださいね。