「小さな親切」作文コンクール
「小さな親切」作文コンクールは、親切体験を作文に書くことで、子どもたちに人を思いやる心や言葉について、改めて考えてもらうことを目的に昭和51(1976)年よりスタート。
当コンクールでは、作文の技術力だけでなく、親切を受けたときの感動や親切ができなかった時の後悔など、素直な心の表現を重視し評価しています。
子どもたちの素直な気持ちをつづった作文は、私たちにたくさんの感動を与えてくれます。
今年度の募集は締め切りました。
たくさんのご応募、ありがとうございました。
- 審査基準
- 作文がテーマに沿っているか。
- 心打たれる(感動する)ところがあったか。
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親切を、実行した、された際の心の動きが素直に表現されているか。
また、親切な行いが出来なかったことについての十分な反省が表現されているか。
コロナ禍の子どもたちが教えてくれた“大切なこと”
令和3年(2021)度の「小さな親切」作文コンクールは、通常テーマ「小さな親切」に加えて、特別テーマ「コロナが教えてくれたこと」を設けました。 “ウィズコロナ”が日常となった子どもたちの作文には、幸せの本質や人の心の在り方など、大切なメッセージがたくさん詰まっていました。
特別テーマに寄せられた作文の傾向を一部ご紹介します。
“当たり前”が幸せ
圧倒的に多かった作文のテーマは、コロナ前の日常が「いかに幸せだったか」気づいたというもの。学校行事や修学旅行に加え、人生の節目となる入学式や卒業式、一生懸命練習に打ち込んだ部活動の大会などが中止となり、多くの小中学生が残念な想いを綴っていました。
コロナによって、一生の思い出となる機会がたくさん奪われてしまったことに胸が痛くなりますが、これまで当たり前のように過ごしていた学校や家庭での日常は、「決して当たり前ではない、とても幸せなものだったのだ」と気づいた子がたくさんいました。だから、これまで以上に、家族や身近な人に感謝しながら、一日一日を大切にしよう……と、彼らは前向きに”今“を生きています。
年を重ねた大人のように、達観した子どもたち。早くのびのびとした生活ができるよう願っています。
大人への批判の目
クラスメイトとの楽しい食事の場である給食の時間は「黙食」となり、友達と遊んだり、家族との旅行や外食もできなくなりました。学校や家で、様々な制限を強いられている子どもたちの「息抜きの場」は多くありません。
そんな中、テレビで目にするのは、緊急事態宣言中にも関わらず、路上や居酒屋で遅くまで飲み、ハメを外す大人たちの姿。自分たちは感染しない・させないように、いろいろな我慢をしているのに、なぜ大人はルールを守らないのか、と怒りをぶつけている作文もありました。
また、「コロナ差別」「自粛警察」など、他人を攻撃する人に対しても厳しい意見が。「憎むべきはウイルスであって、人ではない」と、多くの子どもたちが相手を気遣う心の余裕を持つよう訴えています。
本来、子どもたちのお手本であるべき大人。我々の言動・行動は常に子どもたちに見られていることを忘れずにいたいものです。
“人の心”を教えてくれたコロナ
家族や身近な人がコロナに感染したり、濃厚接触者になった体験を書いた作文もいくつかありました。通っていた幼稚園で感染者が出たため、濃厚接触者になった妹に、思わず「近寄らないで!」と言ってしまった小学生は、幼い妹を傷つけた罪悪感でいっぱいになりながらも、自分の心を見つめ、差別は決してしてはいけない、コロナが「人の心」を教えてくれた、と綴りました。
不安や恐怖によって生まれてしまう「差別の芽」。それを摘むことができるのは、唯一「人の心=思いやりの心」だけ。コロナに打ち勝つためには、「人の心」を失ってはならないと多くの子どもたちが気づいてくれたことは、嬉しい限りです。