【第1回】 情緒が安定し、会話も好きな子どもに育てるヒント。

幼児期に、たくさん話しかけてあげてください。

仕事柄、研修やお母さま教室の際に、いろいろなご相談を受けます。その中で、最近増えてきたテーマがあります。
「うちの子はあまりしゃべらないのですが、大丈夫でしょうか」
そんなご質問です。

今の若者はコミュニケーションが下手になったという世評がありますので、それをご心配になっているのかもしれませんね。実際のところを言いますと、大学で教えている学生たちを見ましても、また、お母さま方を見ましても、会話が少なくなったと私自身が感じています。また、一方的に自分の言いたいことをしゃべるだけで、相手の話を聞いていないというようなケースも見かけます。

その理由はわかっています。今は昔と比べ、成長過程で子どもが会話をする機会が減ってしまったのです。兄妹は減り、働くお母さんも増え、近所で声をかける大人も少なくなりました。友だちと外で遊ぶこともなくなっています。皆さんもそう感じることがあるでしょう。
社会的構造にも起因していることですので、全てを以前のように戻すことはできません。
でも、ご安心ください。お母さんやお父さんのちょっとした注意で改善することができるのです。

私からのアドバイスは
「幼児期のお子さんに、ご両親や周りの大人がたくさん話しかけてください」です。
今、私が懸念しているのはスマホです。子どもたちが話かけているのに、『ちょっと待って』と言ってスマホを操作しているお母さんをよく見かけます。
これが稀なことならいいのですが、私には毎日、何度も繰り返されているように思えてなりません。逆の立場で考えてみましょうか。あなたが誰かに話しかけているのに、後回しにされて、生返事。その上、なぜか怒り口調。おそらく、あなたの心は傷ついて、その方と話すのを避けるようになるでしょう。乳幼児だって同じです。会話自体を嫌いになってしまうかもしれません。

子育てでストレスがたまることもあるでしょう。スマホで息抜きというのもわからなくもありません。ですが、それを子どもに邪魔されたように感じて、余計に育児がストレスになりこともありそうです。これでは本末転倒ですね。

もしも、思い当たる節があるなら、ひとまずスマホを置いて、子どもの目を見て話をするように心がけてほしいと思います。会話は心の交流のための重要な手段です。ただ言葉を交わせばいいというものではありません。子どもの目を見て、きちんと話を聞いてあげましょう。そうすれば、子どもは母親の態度を見て会話のルールを覚えられます。他人への思いやりや、やさしさも身に付けることができます。
そしてなにより、「親に愛されていることを体感」できます。それが子育てでもっとも重要なことなのです。情緒も安定し、会話も得意な子に育てるコツなのです。

子どもとより多くの会話をすることで、発見や学びも出てきます。子どもにもっと関心を持てるようになります。育児は元より手間のかかることですが、逆に手間をかけた分、親御さんの負担は案外減っていくものです。これについては次回にお話しましょう。