紙芝居はこうしてできる!
紙芝居ってどうやって作るのかな?『まつりのひ』ができあがるまでを見せちゃうよ!
※今回は、特別に印刷会社に作業工程を取材させてもらったよ
1.被災地域に話を聞きに行く
『まつりのひ』は全部が作ったお話しじゃなくて、実際にあったことも物語になっているんだ。
東日本大震災の被害にあった地域(被災地)が、今どんなふうになっているのか、住民の人たちがどんなこと考えているのか、そして私たちがどんなことを伝えられるのか…そんなことを知りたくて、被災地域を訪ねて、いろんな人にお話を聞いてきたよ。
2.脚本を作る
聞いたお話をもとに物語を作るよ。
一番大切なことは何を伝えたいか、ということ。この紙芝居は前作『つなみのひ』と同じように、読むだけじゃなくて、学校の授業でも使ってもらえるような物語にしたかったんだ。
脚本を作るときには、実際に文章を書くにいのゆうひこさん(童話作家)だけじゃなくて、元小学校長の馬場喜久雄先生(全国小学校道徳教育研究会顧問)にも協力してもらったよ。
紙芝居はページ数が限られて、おまけに文字数にも限界がある。伝えたいことがたくさんあったから、何度も何度も書き直したんだ。
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馬場先生(左)とにいのさん(右) -
できあがった文章
3.絵を描く
前作『つなみのひ』と同じ世界観にしたくて、今作も絵はイラストレーターのしもかわらゆみさんにお願いしたよ。
にいのさんが書いてくれた脚本をもとにして、しもかわらさんに絵を描いてもらうの。ページが進むごとに楽しんでもらいたいな、とそのページで一番伝えたい場面を絵にしてくれたんだ。
一枚の絵が完成するまでにはいくつも工程があって、実はとても時間がかかるんだよ!
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ラフ案 -
下絵 -
完成した絵
4.紙芝居本体を印刷する
文章と絵が完成したらいよいよ印刷!印刷会社には、印刷のもとになる「版下(はんした)」というをデジタルデータで渡すんだ。
①製版する
印刷するためにはまず「刷版(さっぱん)」と呼ばれる版を作る。これを製版(せいはん)というよ。
刷版は、同じものを刷れるように印刷機にセットする、大きなハンコみたいなものかな。アルミ製の板にレーザーで字や絵を写して、特殊な薬品でコーティングするとできあがり。
実はカラー4色の印刷って、紙に1色ずつ色を刷っていく。印刷には、色ごとの刷版が必要なんだ。紙芝居の表面は4色だけど、裏面もあるよね。つまり、1ページの紙芝居を印刷するためには、表面4枚+裏面1枚=5枚の刷版が必要なんだよ!
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製版する機械 -
データ印字前の原版
※色の4色
カラーの印刷も、おうちのプリンタと同じようにこの4色で再現するんだよ。
- (シアン=青)
- (マゼンタ=赤)
- (イエロー=黄)
- (ブラック=黒)
②印刷する
製版したら、印刷機に刷版をセットして印刷を開始!今回は、紙芝居4ページを1枚の紙に印刷したよ。
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奥から1色ずつ刷っていく -
刷り上がった!
③1ページごとに切る
4ページを1枚に印刷しているから、1ページになるように、サイズを確認して切り分けていくよ。
5.箱を作る
紙芝居って本体を印刷すれば終わり、じゃないんだ。そう、本体を入れる箱も、ちゃんと作らなくちゃね。
①型を作って切り抜く
箱型を作って、紙を切るための裁断機(さいだんき)で紙をその型通りにくりぬく。
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箱型。実は特注! -
いろんな形が作れる裁断機
②タイトル帯を貼る
箱には作品名が分かるように、タイトルをつけなくちゃね。今回製作をお願いした、音羽印刷株式会社では、職員の人たちが、タイトル帯を手作業で貼ってるんだ!
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タイトル帯の裏にのり付け -
ていねいに、正確に。まさに職人技
6.ついに完成!
1ページごとに裁断した紙芝居本体を順番に組み合わせて、箱に入れたら完成!!
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ページを組む帳合(ちょうあい) -
箱に入った完成品
『まつりのひ』のを作るのにかかった期間は約9か月。紙芝居ができあがるまでには、本当にたくさんの人たちの協力が必要なんだよ。
今回、取材や制作に協力してくれた人たちに、あらためて感謝しなくちゃね。