2019年9月18日 長野市立山王小学校

今年の工作教室は、長野県内で初の実施校となる、長野市立山王小学校で行いました。
先生方の明るい笑顔に迎えられ、講師の有賀忍(ありが・しのぶ)先生もやる気十分!
身近なものを使うおもちゃ作りに参加してくれるのは、3年生と4年生です。今回は、学年で異なるおもちゃを作りました。

「今日はこれを作るよ!」と気合いも十分な有賀先生

◎メッセージも伝えられる!

まず、3年生が作ったのは、牛乳パックを使った『お口パクパクカード』。
牛乳パックに顔を描いて、切り込みを入れて作る「口」をパクパクと動かして遊ぶおもちゃです。作り方はとても簡単ですが、このパクパクカードは遊ぶだけではありません。
お口を大きく作れば、その中に文字を書き込めるメッセージカードに大変身!今回は、おうちの人や先生、友達など、身近な人にメッセージを書くことにしました。
わりとスラスラ絵を描いていた子どもたちも、いざメッセージを書こうとすると、手が止まってしまい…。書きたいことがたくさんありすぎて、迷ってしまったようです。

こうして考え抜いて、心を込めて書いたメッセージカードは、届けたい人のもとへ。後日届いた子どもたちからの手紙には、「お母さんがとってもよろこんでくれた。また作りたいです」と書かれていて、みんなが笑顔になれてよかったな、とうれしくなりました。

メッセージは何を書こうかな…

◎どうやって遊ぶ?遊び方を生み出そう

4年生は、『回転円盤おばけ六面相』作りに挑戦です。

こちらは工程が増えて、少しだけ難易度がアップ。円盤を中に仕込んで、それをくるくる回してみると、目と口の部分が変化していくというもの。

どんな顔が作れるのか、表情を考えるのも楽しいですが、今回は一歩先に進んでみることにしました。

有賀先生が提案したのは、「このおもちゃを使って、友達と一緒に遊んでみよう」。
今あるもので、どうやって遊ぶかを考える。使い方通りに遊ぶだけではもったいない。自分で遊び方まで作ってしまおう、というもの。
そんなことできないよ~と言っていた子どもたちも、友達とおしゃべりをしながら考えます。気づけはあちらこちらで、オリジナルの新しい遊びが始まっていました。
こうした経験は、他のことにも応用できるのではないでしょうか。何もないから何かを生み出す。これからの社会にも必要な力ですね。

かわいいおばけができあがりました!

◎とにかく大事なのは、全力で楽しむこと!

有賀先生のおもちゃ作りにはおばけがよく登場します。よく見かける動物の方が描きやすいと思うのに、「おばけを描こう!」と言います。一体なぜなのでしょう?

それは、誰も見たことのないおばけには、正解のカタチがないから。合っているとか間違っている、上手いとか下手とか、そんなことを気にしなくていいからです。自分が想像したそのままを表現していい。そのことが、子どもたちの柔軟な想像力を育むんですよ、とおっしゃいます。

そして、とにかくほめまくる!大人だって、ほめられたらうれしいもの。

自由に作っていいよと言われ、ほめられた子どもたちは、それはもうのびのびと、驚くような集中力で取り組みます。「あれ、絵を描くのは苦手って言ってなかったっけ?」と突っ込みたくなるほど。でもそれくらい楽しい時間なんだな、と私たちもうれしくなります。

上手く描かなきゃ、時間内に終わらせなきゃ…「●●しなきゃ」は柔らかい頭を固くして、楽しい気持ちも減らしてしまいます。

まずはとことん楽しむ!→楽しいことはどんどんやりたくなる →おもちゃの完成が「自分でやり切った」という達成感に →またやりたくなる。

このループが大切なんだそう。「楽しむ」だけで、想像力や創造力が育めるなんで、とても簡単だと思いませんか?

おもちゃ作りの進み具合もそれぞれ。自分のペースでいいんです。

※今回作ったおもちゃの作り方は「おうちで遊ぼう」のページで紹介しています。ぜひ作ってみてくださいね!

※有賀先生の子育てコラムは「子育てコラム」の一覧ページから


実施概要
主催:公益社団法人「小さな親切」運動本部
補助団体:公益財団法人 JKA
協力:「小さな親切」運動長野県本部
講師:有賀 忍(絵本作家・江戸川大学客員教授)
日時:令和元年9月18日(水)
場所:長野市立山王小学校