2019年7月12日 新庄市立沼田小学校
今回授業を行ったのは、山形県・新庄市立沼田小学校。正面玄関では大きな松の木が出迎えてくれ、中庭にはアニメのキャラクターを模した植え込みが。緑鮮やかで心地よい雰囲気にあふれていました。
講師に馬場喜久雄(ばば・きくお)先生をむかえ、オリジナル紙芝居『まつりのひ』を用いて、7月12日(金)に4年生を対象に実施しました。
今回は、馬場先生と一緒に、担任の小野先生と教務主任の小林先生が紙芝居を読んでくださいました。
馬場先生と一緒に紙芝居を読んでくださったのは、担任の小野先生と教務主任の小林先生。たくさんの先生たちも参観にきてくださり、子どもたちは少し緊張気味です。
そして、紙芝居がしっかり見えるように、いつもと違う机の形で授業が始まりました。
【授業の様子】
まず、子どもたちに、自分の街のいいところを聞いてみました。
新庄まつりがある
- 「縄文の女神」が有名
- ヤマガタダイカイギュウの化石が出た
- サクランボがおいしい
- あじさいせんべいがおいしい
など、様々な答えが返ってきました。文化や伝統に親しみ、地元の食べ物が大好きな様子が伝わってきます。子どもたちの答えを聞いたところで、早速、紙芝居の朗読が始まります。
紙芝居が読み終わると、次の場面の時、主人公のコタローがどんな気持ちだったのかを聞いてみました。
①キュウスケに村を案内している場面
- キュウスケと仲良くなりたい、友達になりたい
- 一緒にいると楽しいな
もっと町のことを知ってほしい
- 海の近くだとポンタが来られないかもしれないからどうしよう…
- 何をやったらいいんだろう
- キュウスケと仲良くなれるからやろう
- 祭りにきてくれる人によろこんでもらいたいからやる
- 無理やりやってもらってもよくない
- 失敗したら恥ずかしいからやりたくない
③村人たちが出し物を練習している場面
- 恥ずかしいけどがんばってみよう
- 村の人たちもがんばっている、ぼくもがんばろう
④まつりの出し物が成功した場面
- うまくできてうれしかった
- やっと成功できた!
- もっと楽しみたいな
随所で意見をしっかり出してくれた子どもたち。自分の思ったことを素直に伝え合うことで、おたがいの理解を深めているように感じました。
そんな子どもたちに、最後にコタローたちのように、住んでいる街のためにやっていることを聞きました。
◎住んでいる街のためにやっていること
- 落としものを見つけたら、きちんと届けている
- 川の掃除をしている
- 自然を大切にしている
身近なちょっとした行動を大事にしているようです。土偶や化石に魅力を感じていた子どもたちにとって、豊かな自然も、大切に守っていきたいものなのかもしれません。
【素直な気持ちが表現できる】
授業では、自分の気持ちを目に見える形で表現する「カラーカード」を使いました。この授業ではたびたび登場する、画用紙を小さく切ったちょっとした小道具です。②くまのおじさんにまつりの出し物について聞かれる場面で、自分の考えるコタローの気持ちを表現してもらいました。
- やろう(青)
- どうしよう…(ピンク)
- やめよう(赤)
これまで同じようにカラーカードを使用してきましたが、実は、周りの目を気にして「やめよう(赤)」と答える児童はいつもなかなか現れません。
そんな中、沼田小学校の子どもたちはとてもまっすぐ気持ちを表現してくれました。数人が赤カードを出し、その気持ちを教えてくれます。「ポンタを思うと、無理にやらなくてもいいと思う」。友達を想ってやめると決めたのですね。
一方で、青のカードの子どもたちからは「でも、お祭りを楽しみにしている人がいるからやろうよ」との声が。誰の気持ちに寄り添うかで出てくる意見も異なります。
でも、子どもたちがみな、友達や周りの人たちを大切に思いやっていることが伝わってきました。
気持ちを言葉にすることが苦手な子どもにも、自分の考えを表現してもらうことができる「カラーカード」。身近なもので作ることができますので、このレポートをご覧になっている先生方も、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
実施概要
主催:公益社団法人「小さな親切」運動本部
補助団体:公益財団法人 JKA
講師:馬場喜久雄(全国小学校道徳研究会 顧問)
参加協力:新庄市立沼田小学校
日時:令和元年7月12日(金)